JCSS : Japan Calibration Service System(計量法校正事業者登録制度)とは、経済産業大臣から権限を与えられた“独立行政法人製品評価技術基盤機構認定センター”が計量法第143条第1項の規定に基づき、計量器の校正事業を行う者の、特定の校正分野(登録区分)における能力を審査して登録する制度です。

JCSSに認定される条件

校正値に不確かさが表記されていること

測定のトレーサビリティとは単に上位標準器と比較を行うだけではなく、特定された(例えばISO/IEC17025で承認された)手法を用いて校正を行い、校正値に不確かさが表記されていなければなりません。(JCSS校正証明書はこれらの条件を満たしています) 校正証明書に不確かさが表記されていない計器は、トレーサビリティの根拠にはなりません。

登録事業者の信頼性の高さ

登録事業者は、国家計量標準にトレーサブルな校正を行う事業者であり、認定センターより一定の能力が認められた信頼性の高い事業者です。そして、このことは登録事業者から校正を受けたユーザーの計測器における信頼性にもつながります。

国家計量標準にトレーサブルであることを証明

JCSS認定シンボルが付された校正証明書を提示することによって、校正を受けた計量器が国家計量標準にトレーサブルであること(トレーサビリティ)を対外的に証明することが可能となります。国家計量標準にトレーサブルであることを証明する証明書が、JCSS校正事業者の発行するJCSS認定シンボル付き校正証明書です。

証明書サンプル 580x300

JCSSに認定される測定器とは

測定器は標準器によって校正される。その標準器はより正確な(不確かさがより小さい)標準器によって校正される。この標準器もより正確な標準器によって校正される、というようにより正確な標準器をもとめていくと国家標準に遡ることが確かめられている場合、この測定器は国家標準にトレーサブルであるといいます。

トレーサビリティの定義

JIS Z8103:2000(計測用語)では、「不確かさが全て表記された切れ目のない比較の連鎖によって、決められた基準に結びつけられ得る、測定結果又は標準の値の性質。基準は通常、国家標準又は国際標準である」とされています。

又、ILAC(国際試験所認定協力機構)やIAJapan(製品評価技術基盤機構認定センター)ではトレーサビリティの要素は次の 1.〜 6. に特徴づけられることが重要であると指針を出しています。

  1. 切れ目のない比較(校正)の連鎖
    通常は国家又は国際標準である、その団体に容認された標準へ遡る。
  2. 測定の不確かさ
    トレーサビリティ連鎖の各段階について測定の不確かさは合意された方法にしたがって計算され全体の連鎖について総合的な不確かさが 計算又は推定できるよう表記されなければならない。
  3. 文書化
    連鎖の各段階は文書化され一般に認知されている手続きに従って実施されなくてはならない。結果は記録されること。
  4. 能力
    連鎖において1つ以上の段階を実施する試験所又は機関は、(例えば認定されているという証明によって)その技術力に関する証拠を提示しなくてはならない。
  5. 国際単位系(SI)への参照
    比較の連鎖は、可能であればSIを実現する一次標準で終わらなければならない。
  6. 校正周期
    校正は適切な間隔で再校正されなくてはならない。これらの間隔の長さは、変数の数(例:要求される不確かさ、使用頻度、使用方法、装置の安定性)に依存するであろう。

ISO/IEC17025「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」とは、管理上の要求事項と(品質マネジメントシステム)と、技術的要求事項とに大きく分けて規定されています。特に技術的要求事項は、ISO9001シリーズにはない、この規格特有のものです。審査時には、校正方法、不確かさの算出、要員、トレーサビリティ、設備等に関しても審査をされ、認定を受けております。

※詳しくは独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapn)Webサイトへ
校正事業者登録制度

国際MRA対応認定事業者とは

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)認定センターは、他国の校正・試験所認定機関との相互認証取決め(MRA)を締結していますが、JCSS登録事業者のうち認定後定期的な検査を受けること及び4年に一度の技能試験に参加する条件で、認定国際基準に対応した事業者を「国際MRA対応認定事業者」といい、校正証明書に認定シンボルを付すことが許されています。

国際的な校正

JCSSはILAC/APAC MRA(相互承認)に署名しています。JCSS校正事業者かつ、国際MRA対応認定事業者であるナガノ計装の校正で、ワンストップテスティング(1回の校正で国際的に適合)となり、MRAに署名している世界各国で校正が信頼されます。

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JCSSの活用

国内における法規制での活用

JCSS校正は国内における法規制でも活用されています。次のような法制度・要求事項ではお客様の計量標準器が国家計量標準にトレーサブルであることの証明が必要とされます。

  1. 高圧ガス取締法
  2. 計量法
  3. 気象業務法
  4. 道路運送車両法
  5. その他(JCSS適合を条件としているもの)
    ・原子力発電事業者の計量器管理マニュアル
    ・陸上自衛隊の外部校正事業者の入札条件
    ・FAA(米国連邦航空局)の免責措置
    ・薬機法(計測器の妥当性確認で義務付け)
    ・食品衛生法(計測器の妥当性確認で義務付け) 等

※参考資料
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapan)Webサイト
強制法規等へのJCSSの活用状況

各種国際マネジメントシステム(ISO)への対応

JCSS校正は各種国際マネジメントシステム(ISO)の要求事項にも対応しています。国際標準化機構(ISO)の各種マネジメントシステムでは、監視及び測定のために用いる装置(計測器)の国際又は国家標準にトレーサブルな計測管理を確保することが、全てのシステムで要求されています。

ISO9001 品質マネジメントシステム
ISO14001 環境マネジメントシステム
IATF16949 自動車生産及び関連サービス部品組織の品質マネジメントシステム(特に外部試験所についての要求事項として、ISO/IEC17025への適合が要求されています)
ISO13485 医療機器の品質マネジメントシステム
ISO22000 食品安全マネジメントシステム
JIS Q9100 航空宇宙産業品質マネジメントシステム

JCSS認定シンボル付き校正証明書を提示するだけで、これら法制度・要求事項に対し、計測器が国家計量標準にトレーサブルであることを証明できます。

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